意見の表明・対立・政治性を避けることで音楽の深みが失われていく…星野源&安倍晋三「うちで踊ろう」コラボ動画で浮き彫りになった

最近、話題の件。自分は星野源の音楽が結構、好きなんだが。
星野源の何が一番魅力かというと、音作りへのこだわりだと思う。特にストリングアレンジがカッコよくて、「Sun」とか「アイデア」を聴くとそれが際立ってる気がする。
「恋」とかも、中国の楽器である二胡の音とかを加えていたり、「アイデア」でSTUTSを起用してMPCという楽器を編成に加えているのもいい。

だったんだけど、今回の一件。に対する星野源本人のコメント。

ひとつだけ。安倍晋三さんが上げられた“うちで踊ろう”の動画ですが、これまで様々な動画をアップして下さっている沢山の皆さんと同じ様に、僕自身にも所属事務所にも事前連絡や確認は、事後を含めて一切ありません

このコメント、何かひっかかる。
そしてこのコメント以降、何か星野源を聴いてもモヤっとする。
いい音楽のはずなんだけど…そのモヤモヤが何なのかをハッキリさせたくて、日記を書くことにしたのね。

やっぱりこのコメントが、何というか「力が無い」「やる気がない」感じだからだと思う。
避けてないか、ビビってないか…政治的発言として捉えられることを。
例えば爆笑問題の太田とかビートたけしのように、政治性の有無はさておいて、安倍晋三に対して辛口な発言をサラッと言ったりする。そういう人はカッコいい。権力に関係なく、自分の意見を率直に言える強さに憧れる。

芸人との比較だとわかりにくいだろうから、アーティストで例えると。
例えば田我流、「Straight outta 138」なんてモロに政治性の強い音楽だけど。
現政権を批判して山本太郎をリスペクトする感じの楽曲。

ただ、別に安部晋三を支持するとか山本太郎を支持するとか、それはどっちでもよくて。

楽曲に少しでも政治性が出ると「アーティストとして強い信念や思想がある」という雰囲気が出て、そのアーティストをより魅力的に感じたりしないだろうか。こういう曲が1つでもあると、「このアーティストは、芯のある考えを持ってるんだなぁ」と、何か親近感とか尊敬の念が出てきて。「EVISBEATS – 夢の続き feat. 田我流」とかは、別に先入観無しでもいい曲なんだけど、そういう先入観みたいものがより音楽に深みを出してくれて、何度でも聴きたくなったりしないか?

だからJamiroquaiも、最初は大ヒットした「Virtual Insanity」から入ったけど、他のアルバムの楽曲(例えば「Emergency On Planet Earth」)を聴いてジェイ・ケイの思想というか考え方に触れて、より聴きたくなったりした。

つまり何が言いたいかというと。今回の星野源のコメントは、何も語ってないに等しい。
事実を語っただけで、意見を言っていないんだ。
そりゃ意見を言わないなら、対立や政治性も生まれないけど、言葉に力も宿らないでしょ?
だから今回の一件は「ああ、星野源って現在のコロナ騒動とか現在の政治に関して、特に何の意見もないのかな」っていう印象を持たざるを得ない。そうなると、極端に言えばだけど、AIや傀儡人形が歌っているような感じだ。
意見や信念を持ってない人の曲は、音楽から人間性がなくなって、何か聴いてても「でも星野源、政治性が出ないように音楽を発信する事なかれ主義者なんだよなぁ(笑)」みたいな、雑念が良質な音楽を邪魔して魅力に思えなくなるような感じだ。

似たような事例を挙げると。

[B! 糸井重里] 糸井重里さん、“渾身のポエム”と“ほぼ日の業績”どちらも振るわず辛い結果に : 市況かぶ全力2階建

という記事で、糸井重里に対して批判的なコメントがあって。ブコメ欄と、記事の中身 http://kabumatome.doorblog.jp/archives/65961011.html の両方ね。その中に、

俺、何十年も前から糸井重里大嫌いだけど、彼の人のツィートって注意深く政治志向は除去されてて、見た目上では政府の犬と言われない様にはなってるのよな。そう云う仄めかしの達人だから反吐が出るんだけどさw

「人を責めるのはやめよう」「みんな落ち着こう」って確かにその通りなんだけど、沈没船で自分は助かると確信してる糸井重里みたいな上級国民きどりがこれを言うと、「負け組は黙ってろ」って意味になるから最高にムカつくんだよな。

「ほぼ日」は比較的恵まれた人たちが、社会構造のマイナス面を「ないもの」として敢えて見ずに「僕たちっていい人だよね」って言い合ってるようなイメージなので、否応なしにマイナス面を見せつけられるこのような状況がすごく嫌なのだろうなと思った

というコメントがあったけど。これに近い感覚よ。

いやお前イエローダンサーとか、人種とかブラックミュージックを意識したタイトル付けるなら、もっとブラックミュージック的なノリでさらっと世間とか現体制に一石を投じてみんかい!

ってことね。
だから見せてほしかった、星野源には。
さらっと強い意見を言える強い意志、強い言葉を。

イエローミュージックは何の意見の表明も政治性もない音楽だなんてオチ、味気ないでしょ。

  • このエントリーをはてなブックマークに追加
  • follow us in feedly

トップページ(低価格ヒルズ)に戻る

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です