映画『何者』よかった!「あ、これ昔の俺やん?」みたいな羞恥心を抱かされる。エンディングもカッコいい!けどPVが…。(※ネタバレ注意)

映画『何者』観てきた。恥ずかしい~と、自分が思うような感覚を抱いたね。
このブログ、何か語尾に「Ze」とか「Da」とか付けてDJキャラ演じてたけど、それも何か、主人公の二宮拓人(佐藤健)から言わせてみれば「寒い」んだよね。DJ気取ってるけど、これ書いてる俺は、本当はどこにでもいるサラリーマンなのによ。

けど夜はDJとかもししてたらカッコいいじゃない?松田優作が出てた『蘇る金狼』みたいによ、昼は平凡なサラリーマンだけど、夜はボクシングジム行って組織を乗っ取る野望持ってる男みたいな。ちょっと例えが古かったかな。

けどそんなカッコいいもんじゃなくて。吉本隆良(岡田将生)と同じく、クリエイティブ気取ってるくせに、実は大した存在じゃない、そんなに多くの人から注目もされてない、ほとんど何者でもないっていう存在、自分の価値観や感性が優れていると自己愛に浸っているが、実は単に消費している文化が人とはちょっと違うだけであって何も生み出してないサブカル野郎、それが俺。

だから理想の自分っていうか、脚色した虚飾の自分を「これが俺だ」「これが私なのよ」っていうプレゼンを、せめてTwitterとかブログとかFacebookとかでやるんだよ。本当の自分でもねえくせに、もっとしょうもない日々を過ごしてるくせに、さも自分はリアル充実してます、友達多くて愛されてます、夢に向かって頑張っています、ってな具合にな。

俺は隆良(たかよし)みたいな傾向がある人間だった気がする。クリエイティブじゃないのにクリエイター気取り。けど、実は自分が何者でもないってことに、何か気が付いて。さらに『モテキ』を観てそれを強く認識できたね。ちょっと自分のライフスタイルが違うからって、B’zとかシャ乱Qじゃなくて、岡村靖幸とか榊いずみ聴いてる、ドラゴンボールやスラムダンクじゃなくてザ・ワールド・イズ・マイン読んでるからって、何なんだ?ただ消費してるだけじゃねえか…どこにでもいる凡人、HaHaHa…やっと気付けたぜ俺は。

クリエイター志向になる凡人と、経営者やエリートビジネスマン志向になる凡人がいる。俺はクリエイター志向の凡人であることに気付けた。
クリエイター志向の凡人は、ビジネスマン志向の凡人に茶々入れたくなるんだ。それこそ、演劇やってた冷静分析系男子の拓人(たくと)が、プライドが高くて自己顕示欲が強い、意識高い系女子の小早川里香(二階堂ふみ)に抱いたような嫌悪感。「寒い」と思っちまう。それは嫉妬心っていうか、自分が凡人だから、他の人も凡人にしてやりてえ、引きずりおろしてやりてえ、俺のとこまで落ちてこい、いや俺の方が自分を客観視できていて凡人だということに気づいてるから上だぜ?っていう優越感。に浸りたいからそう思っちまうのか、恥ずかしい感情だぜ。鳥丸ギンジはまだいいんだよ。同じ凡人でも、クリエイター志向だから。それこそ、拓人が「タカヨシとギンジって似てますよね」と思ったように。サワ先輩(山田孝之)が「俺はお前の方がギンジに似てると思うよ」って言ったように。共感できる部分がある、神谷光太郎(菅田将輝)も同じくバンドマンでクリエイター志向だからな。

けど里香は違う。ムカツク。全く俺の生き方に似てる部分も、共感できる部分もねえ、人脈多いから、英語話せるから、何だ?そしてそれをはっきり、やんわりでも、自慢するやつは醜い自己顕示欲に溢れていて、その話をした相手が、「この人は自分に無いものを持ってるな…」と、自分を相対化して劣等感を抱かせてしまうのではないかとって思わねえか?お前は、そういう気遣いすらできない、想像力に欠けて、鈍感で、平気で人を傷つける人間なんだよ。

て思っちまう。だから俺もそういう輩を見ると虫唾が走って、拓人のように、嘲笑してたよ。俺が就活していた頃は、まだTwitterやFacebookもなくて、その頃のソーシャルメディアとか自己表現の場はmixiが盛り上がってた気がする。
そのmixiに、俺と同じバイト先の先輩が「●●会社の社長に会った~食事した♪キラキラ~☆彡」みたいな日記書いてたからよ。
俺はそれを読んで「気持ち悪いいいい!」「なんでこんな風に、自分大好き、私はすごい人と繋がりを持ってますアピールできるの!?鬱陶しい、自己顕示欲が強すぎじゃん」という感情を抱いたのよ。映画の里香を見て、その先輩を思い出した。

今は「意識高い系」って言葉が浸透して、俺の感情も共感してくれる人は少なからずいると思うよ。だがその当時は、そんな言葉がなかったから、意識高い系はもっと自由に跳梁跋扈してて。無神経な言葉やさりげない自慢で、多くの人に少なからず劣等感を与えていたんだ。それが意識高い系の悪なんだよ。だからせめて、その劣等感を拭って、少しでも自尊心を取り戻すために「総文書院 2ちゃんねる 評判」とか検索しちゃう拓人の気持ちはすごくわかる。自分は意識が高いだけでただの凡人であることに気が付きだして、内定を取った田名部瑞月(有村架純)と自分を相対化して「全日通信エリア職ブラック」とか検索しちゃう里香の気持ちも判る。

俺はこの感情を理解してもらうために、その社長と会った自慢してた先輩と共通の知り合いである女の子によ、「社長に会った自慢とかするのって、何か寒くない?」みたいな、それこそ拓人が言いそうなことを言ったんだ。そしたらその女の子は…その先輩と仲が良かったってのもあったからさ、「何でがんばってる人にそういうこと言うの?」って感じのこと言われて、すごく不機嫌になって怒っちゃって。その女の子とその後デート出来なくなっちったね…。
違うんだよ。君に共感してほしかったんだよ。さりげない日記でも、読み手が自分を相対化して、劣等感を抱いてしまうってことあるじゃない…デリカシーがないと思わないか?
拓人がギンジに「まだやりきってない段階で、これがんばってますアピールするのやめろ」って言った気持ちもわかる。身近な人間ががんばってます、そしたら俺は、焦燥感を抱いてしまうんだ。俺に焦燥感を抱かせた時点で、お前は俺の心を乱してるんだよ?さらに、傷つくことになることもあるんだよ!?何でそこまで想像できないんだ?そんな想像力もねえから、アマチュア演劇批評板で酷評されるような作品しか作れねえんだよ。

とか思っちまう俺は。拓人と同じで、俺も内定は全然出ずに、何とか今入れてもらった会社は50社目から60社目か忘れたが、相当不採用通知を受け続けた後だったよ。何で拓人や俺のような人間は、瑞月や光太郎と違って、内定を貰えず社会に爪弾きにされちまうのか。

それは里香が言った「あんたと私は違う。あんたは、誰かを観察して分析して、自分じゃない何者かになってる。そういう場所が欲しいんだよね」って言葉が答えかもしれねえ。俺は就活で、すごく偉そうなこと書いたり言ってた気がする。自分は人とは違うって、就活ではアピールしなきゃいけねえんだけど、そのアピールの仕方がたぶん、面接官には至極鬱陶しく目に写ったんだろうな。エントリーシートにも、自己アピールが過ぎて、自分は何者でもないのに何者かになって、偉そうなコラムめいたものとか書いてたような、とにかく今読み返したら恥ずかして仕方ねえ代物だ。自尊心が強いって思われないように振舞ってるが、実は自尊心が強くて協調性に欠けてそうって面接官に思われたんだ…。

なんて余韻に浸りながらこれを書いてる。昔を思い出させてくれた、いい映画だった。エンディングで流れていた中田ヤスタカと米津玄師の『NANIMONO』って曲も超カッコいい。ダブステップでよく聴く唸るワブルベースのような音色に、緩急入り混じった抑揚のあるピアノ、小気味いい米津玄師のヴォコーダー越しのスキャットと、その中を突き抜けるように時折混じるトライバルなパーカッションの交錯に、自然と体を動かしたくなった。

さっそく聴きたくなって、家でYou tubeで中田ヤスタカ 「NANIMONO (feat. 米津玄師)」MV FULL ver.を観た。
なんやこれ…何で中田ヤスタカ、自分が作曲してる姿とか、ageHaでライブしてる様子とか、自分のカッコいいカットをPVに載せてんだ?

ちょっとショックだった。俺は中田サウンド好きなんだよ。高城剛~40歳になった一夏の物語~を初めて観た時の感覚にそっくりだ。
直接的すぎる…確かに、何らかの形で自分カッコいい、自分すごいアピールしたくなることはある。
でも「妬みを買うかもしれない」「自慢ばかりをする嫌な人と思われるかもしれない」といった想像力みたいなのは、沸かないのだろうか?

僕の作ったキャラクターは大好評!
作ったウェブサイト●つ!飛行機に乗った回数●●回!交換した●●●枚!

と、俺すごい動画の金字塔である高城剛の『Life is a Journey』。
それとこの『NANIMONO』のPV・・・何か似てるぞおい!
DJしてるとことか!!それ・・・カッコいいか!?
カッコよくないだろ?もっと婉曲的に、カッコいい動画作れるはずのに、何でこんなPV…(悲)
米津玄師は踊りカッコいいし歌い手だから出てもいい気はするけど。何で作曲家が出演しちゃうの…。

いや、カッコいいのかな。俺は凡人だから、わかってねえのかもしれねえ。
拓人のような冷静な観察者は社会には求められてねえ。
映画でもあったが、10点、20点でもいいから、点数を付けてもらうためにカッコ悪くて出来の悪い自分を出していく。
俺のような、サラリーマンしながらブログ書いて偉そうに上から目線のレビュー書いてる草の根エセ評論家してる輩なんざ、腐るほどいるんだ。

そんなこと言える立場じゃねえ。けど書いちまった。こんなの書いちまうのはやっぱ、まだ昔の拓人のような痛い自分はまだ残ってて。
何者かになれたような気がするからかな、やっぱ。

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